経理のがっこう

ブログ「経理のがっこう」は、管理人のこれまでの実務経験から学び、感じた、会計をはじめとしたビジネススキルやビジネスマインドを中心に、1テーマ1話の形式で発信していきます。

「費用収益対応の原則」について考える

「費用収益対応の原則」という言葉があります。
 
「費用収益対応の原則」とは・・・
 
「収益と費用をできる限り企業活動上の経済的因果関係に即して
把握すべきであるとする、期間損益計算の基本原則である(Wikipediaより)」
 
ということです。
 
企業は、自身の経営の結果を内外に報告する資料として、
事業年度(例えば1年間)ごとに損益計算書を作成します。
この時、この企業の1年間の収益は○○円、1年間の費用は○○円、
だから利益は○○円出ました!
といえるように、1年間という期間内に発生した分だけを集計する処理をします。
これが、「費用収益対応の原則」の実務運用になります。
 
このことからも分かるように、実際には、
一定の会計期間で区切られた収益および費用を計しているということですから、
必ずしも収益に応じた費用が集計されているということではありません。
売上原価や販売促進費など、収益と費用の関係性が比較的強い科目もあれば、
交際費や図書費など関係性が弱い科目もあります。
また、同じ科目で処理されていても内容によっても様々です。
 
そしてもっと大事なポイントは、
費用の中には投資的内容のものも含まれているという点です。
研究開発費などはその代表的な科目ですが、例えば販売促進費や広告宣伝費なども、
新しい事業やエリアに展開する際の試験的取り組みなども含まれることがあります。
これらは、タイムラグはあれど、
後々の収益拡大につながる可能性を含んでいるものですから、
むしろ積極的にかけるべき費用ということも考えられます。
 
結局のところ、「費用収益対応の原則」というのは、
決算を組むためのルールという意味合いに過ぎず、
実際に収益改善や経費削減に取り組むときには、
実際に即した精査を行うという手間を加えることが必要不可欠です。
収益および費用に与える影響をひとつひとつ地道に精査していくことが、
確実な利益を生んでいくのです。